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推しとオタクの関係を演出する〈推し活グッズ〉──サンリオ「エンジョイアイドルシリーズ」事例から

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今も昔も生活に栄養を与えてくれる「推し」。アイドル、二次元キャラクター、2.5次元演劇など、あげたらキリがないくらい「推し」と「オタク」の関係が存在する。
近年では、「推し活」の種類が非常に豊かになっており、特にSNSでの掲載を意識した「見せる推し活」が増えている。アイドルの誕生日に合わせてセンイルケーキやホテルでお祝いする「#本人不在の誕生会」。アクスタと共にカフェを巡ったり、聖地巡礼をしたりする「#推しのいる生活」。
そんな最新推し活市場で存在感を増しているのが「サンリオ」だ。SNSでハッシュタグを見れば、必ずと言っていいほどサンリオキャラクターたちの姿を見かけるだろう──。
そこで本記事では、サンリオを中心に、推し活市場と消費者の動向を、Story Design houseインターンの下垣内優衣が調査する。

サンリオの展開する「エンジョイアイドルシリーズ」

2019年5月から展開されている「エンジョイアイドルシリーズ」。

開発のきっかけは、自身もアイドルファンだという開発担当者による、当事者目線の願いだった。世の中にファン活動のためのグッズはあるものの、なかなかカワイイと思えるものがない。「好きなアイドルのアイテムを入れるグッズは、可愛くてテンションの上がるものがいい。可愛いサンリオキャラクターのグッズがあったらいいのに!」。そんな発想から始まったという。

実際オタクにとっては「痒いところに手の届く」を体現したようなグッズが揃っている。

まず、アイドルのコンサートに必須のうちわ。そのまま会場まで持っていくと、装飾が壊れてしまうという悩みがあった。そんな時に役に立つのが「うちわホルダー」。キャラクターの装飾もさながら、ちょうどいいサイズの少ない「うちわ」に対応する便利さが注目を集めた。

次に、「アクリルスタンドホルダー」。これはもはやオタクの必需品になっている。たとえば、インスタグラム等のSNSでは、「#アクスタのある生活」や「#カフェ活」といったように、おしゃれなカフェやホテルでの一枚に推しのアクリルスタンドを忍ばせる一枚が散見される。

しかし、アクリルスタンドをそのまま持ち運ぶと、首のところが折れてしまったり、傷がついてしまったりと、繊細な材質ゆえの悲劇があった。。そこで、専用ケースを作ることで、簡単で安全に、しかも可愛い装いでアクスタを外へ連れ出せるようになったのだ。

「推し活グッズ」が普及するアイドル業界

漫画やゲームなど数多あるオタク系のサブジャンルの中でも、近年サンリオが導入したように注目を集めている「アイドル」。アイドル領域における「推し活を可愛く」のブームはサンリオだけにとどまらない。

女性向けアパレルブランド「NICE CLAUP」でも、くまの形を模した「まめくまアクスタケース」や「まめくまうちわケース」が発売され入荷待ちの状態が続いている。また、seriaやダイソーなどでもアクスタケースやスタンドなどが展開されしている。

なぜアイドル推し活グッズはここまでの広がりを見せたのだろうか?

コロナ禍以前のデータになるが、以下の表を見てほしい。アイドル好きの消費者は、人数こそ他ジャンルに対し第3位の位置付けではあるものの、年間消費額は群を抜いて高いことがわかる。

矢野経済研究所「「オタク」分野別推定人数と1人当たり年間消費金額」(2018年)より。表は編集部にて再作成した。

これはアイドルというコンテンツに対して、多くの消費行動を促すイベントがあることが反映されているのではないだろうか。ライブや雑誌、イベント、ゲームなど多岐にわたってアイドルの「推し活」は展開されている。それに伴い、遠征費やグッズ購入も増えていく。給料のほとんどをつぎ込み、推しに「積む」人も少なくない。推し活動はいわば人生を賭けた活動なのかもしれない。

推し活の「モチベ」を上げるには

こうした「推し活」を続けるためには、「モチベ」が必要である。活動のなかではライブに当たったり、推しがレスをくれたり、モチベにつながる出来事はたくさんある。しかし、それも毎日起こることではない。

それでは、どうやってオタクたちはモチベを保っているのだろうか。SNS上での推し活を見ていると、「『推し活』を頑張ったことをみんなに認めてもらいたい」という気持ちがモチベにつながっているように見える。

例えば、「#本人不在の誕生日会」。そこにはホテルに泊まって部屋を綺麗に飾り付け、オーダーケーキとともに推しの生誕を祝うオタクたちの姿を見ることができる。普段は「頑張ったね」と言われない推し活だからこそ、同じ推し活に励む誰かからのいいね、がモチベになっているように思われる。

さらに言えば、「魅せる推し活」がSNSを中心に広がったことによって、サンリオのように「可愛く推し活をするグッズ」の需要も高まったのではないだろうか。

──かつては自身が「オタク」であることを隠す人も多かっただろう。それが今ではオープンにすることが当たり前になった。自分らしい「好き」に向き合い、その姿をSNSにアップすることも日常の風景になった。そうした消費者の行動を捉えた「エンジョイアイドルシリーズ」は、その誕生以降着実に売上を伸ばし、サンリオの2022年決算の黒字化にも貢献している。様々な人の「好き」、「推したい」という気持ちに伴走するように、推し活市場の活況は続いていきそうだ。

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