
「かっこいい動画」に満足していませんか?クライアントを“選ばれる企業”にするクリエイティブ×PRの可能性
昨年、Story Design houseでは「PR×クリエイティブ」のクリエイティブチームが立ち上がりました。当社のクリエイティブの強みは、企業のメッセージを一方的に発信するのではなく、届けた先にいる人たちの感情を動かすことを意識したPR視点のクリエイティブの制作と発信力です。今回のnoteでは、Story Design house のクリエイティブチームの横山ふみが取り組んできた、PR視点で取り組むクリエイティブとデジタルマーケティングの実績についてご紹介いたします。
Story Design house の目指すクリエイティブのあり方
横山「世の中は大きく変化しています。コロナ禍により、急に今までと違うコミュニケーションが求められるようになったのもその一つ。今日と明日が違う状況の中、効果的なブランドコミュニケーションには鳥の目が必要で、あらゆる手段の中から制作も情報発信も選択しなければいけません。
自社サービスや商品を広めるためには、誰に何を、どんな風に届けるべきなのか。コンセプト設計からクリエイティブ企画・制作、情報発信に至るまで一貫して支援していきたいです。誰かが受け取った情報が、その人にとってのギフトになる。そんなクリエイティブとコミュニケーションを提供して、ブランディングの可能性を伝えていけたらと思っています。」
クリエイティブを見てもらう仕掛け作りから取り組むリブランディング
Story Design house では、ダムや橋梁、地下貯留施設などの暮らしを支えるインフラを確かな技術力で作ってきた大豊建設のリブランディングに取り組んでいます。2021年1月には、大豊建設の技術力を伝えるため「UNDER RIVER」というコンセプトの下、映像とランディングページを発表しました。
「UNDER RIVER」の動画の長さは1分程度、ランディングページも技術の説明は最小限に省かれ、簡単に概要が分かる程度になっています。
横山「今回、大豊建設の技術力や、経験や、理念、それらが生む価値を世の中に知ってもらうため、「何を伝えるか」と同じくらい「何を伝えないか」を大事にしました。
コンテンツ制作をしているとありがちなのですが、何かを知ってもらいたい!と考えた時、どうしても言いたいことを詰め込んでしまいがち。でも本当に伝えたいと思うなら、人と人とのコミュニケーションと同じで、一方的にたくさん伝えては興味を持ってもらえません。よく喋るな...という印象になるし、相手の考えや感情を挟む隙がない。特に映像は「伝えない」ことで、より伝わることもあります。
最初から大豊建設さんには「伝えない勇気を持ちたいです!」ということをご相談しました。クライアントさんも同じ考えで、映像もLPもあえて余白を作る構成にしたことで、本当に伝えたいことに集中できる内容になったのではと思います。」

コンテンツは「作る」という企画・制作の部分だけでなく、「見てもらう」ことを意識して制作すること、また見てもらうための動線を設計することも重要です。
横山「フィードを一瞬でスクロールして、いらない広告は6秒でskipする生活の中で、手をとめてもらうため冒頭の表現は本当に重要です。そこを突破しないと、せっかくいいものを作っても見てもらえません。今回は、企業広告のセオリーみたいな視点は捨てて、東京の地下に眠る巨大貯水施設を神秘的に表現しよう!と考えました。
一瞬で惹きつけられる単純にかっこいい地下のグラフィックと、なんだろう?と思わせるコンセプト。冒頭で次々と入れ替わる都市の映像。オリジナルで作ったテンポのいい楽曲に合わせて東京の地下に潜っていくと現れる巨大シールドマシンなど。見ていて気持ちいい!続きが気になる!と感じる構成にするため、映像の切り替わるタイミングや音ハメなど冒頭表現にはこだわりました。」

制作した動画は現在YouTubeで50万回以上再生されています。
横山「今回は制作するだけでなく、メディアのプランニングから配信まで、デジタルマーケティングも担当しています。YouTubeは設定を色々配信テストする中で良いパフォーマンスのものを残すことで、最終的に40%近い視聴率まであげることができました。FBやインスタにも出稿したのですが、こちらもかなりCPCを押さえることができています。
色々な動画を作って配信してきて思うのですが、FBやインスタは早い編集との相性がめちゃくちゃいい。最初から配信を意識して制作したことでいい結果に繋がったと思います。」
作る人に熱量がなければ、何も伝わらない
さらに今、横山が力を入れている領域の一つに、「地方」があります。
横山「仕事で地方に行く機会、現地の方と仕事をする機会も多いのですが、本当に尖ったものが多くて面白いです!東京では、例えば表参道ヒルズの地下のお店と武蔵小杉のモールにある店が同じだったりしますよね。それはどうても街が、消費を起点に場所が作られているからだと思うんです。でも、地方は作り手が起点となって生まれる面白さがたくさんあります」
最近実際に手がけたのが、奄美大島龍郷町、静岡県三島市のPR動画制作プロジェクト。自治体の募集に手を挙げ、彼女の案が採用されました。
横山「オリエン資料だけでなく、市が公開している数年分の観光戦略の資料に全て目を通しました。何のための事業なのか。何が求められているのか。そこを知った上で提案したからこそ、話す内容に軸が持てましたし、採用していただけたのかなと思います。」



徹底的なリサーチは、クライアントの真の要望を知ることに加え、自分が心から共感できる「共感ポイント」を探すためでもあります。
横山「できるだけ、私自身が面白いと思えるポイントを探すようにしています。熱量って、当事者から遠くなればなるほど薄くなりますよね? もし私の段階で30%しか熱量を持てなかったら、最終的に何も伝わりません。まずは自分の興味関心に忠実になりたいです。
共感するポイントは、必ずしもみんなに分かるものじゃなくてもいいと思っています。偏っていたり、尖っていたりする人の気持ちを基準につくるから、面白いし差別化できるんだと思います。
私自身は、周りの人が引くような熱さを持っている人が好きです。『どうしてこの機械のこの部分に萌えるの?』と思ってしまうような人を見つけると、話を聞きたくなりますね。
龍郷町では、【心の糸をほどいてくれる旅】をテーマに本編映像を作ったほか、メイキングとしてそれを支える人たちにフォーカスした映像を作らせてもらいました。街に興味を持ってもらった人が、さらに個性的な人や文化や考えた方を深掘りしてもらえると嬉しいです。」



ほかにも、群馬県桐生市商工会議所については、2年にわたり地域ブランディングのプロジェクトに取り組みんでいます。
本気で事業を伝えたいなら、「動画を作って終わり」は絶対ダメ
動画制作をするうえで悩みを抱えることもあります。
横山「クライアントとクリエイターの間で、要望をうまく噛み砕けない時は苦労します。例えば、『もっとかっこよくしてほしい』というクライアントからの依頼であっても『相手の言うかっこいいって何か』を理解する軸が必要です。
映像表現のことなのか、音楽のことなのか、言葉なのか、そもそもコンセプトのことを言っているのか。経験とともに、以前よりは、クライアントの言葉の意味を理解した上で、噛み砕いた説明ができるようになってきました。すると、クリエイターからこちらの予想を上回るアイデアが生まれることも増え、それによってクライアントの納得度も高まっていきました。」
成功も失敗も含めて様々な経験値を積んできたからこそ、強く感じていることがあります。
横山「動画制作を検討している方には、『届けるところまで考えてほしい』と、声を大にして伝えたいです。せっかくかっこいい動画をつくっても、視聴数など結果が伴わなければプロジェクトは続きませんから。逆に視聴数などが目に見えると、インナー的にもモチベーションに繋がります。動画が事業に与えるインパクトは確かにありますが、それ一つじゃ何も完結しないのも事実です。
配信によって取得できるデータから、クリエイティブや商品自体を変える必要が生じるケースも良くあります。例えば、複数の広告動画を配信して、想定していなかったもののパフォーマンスがよければ、伝えるメッセージを変更するかどうかを検討できる。また、思ったよりも60代以上の人が動画を見ているとわかれば、商品自体の文字を大きくするかどうかとか。そういうPDCAは必ず回したほうがいいと思っています。」
動画のクオリティはもちろん大切。でも、クライアントの事業に貢献できなければ意味がない──。クライアントのゴールを見据え、マーケティングの重要性を深く理解しているからこそ、横山はクリエイティブを届けることに向き合っています。
横山「企画・制作からデジタルマーケティングの戦略設計と配信、PR的な情報発信まで、同じ担当者がやれるのが、SDhのいいところだと思ってます。どうやったら結果がよくなるかまで意識して制作できますし、自分で作ったものだからこそ配信でより良い結果を!という気持ちも強いです。
マーケティングは、個人の生活も多様化し、媒体の仕様やシステムも常々変わる中、正解を知っていることよりも、模索する力こそ重要だと思います。いい結果も悪い結果もクライアントさんに共有することで、課題が見えることもあるし、商品開発自体に貢献できることもあります。
動画やクリエイティブを制作するのは、単純な花火的なプロモーションだけでなく、解決するべき課題があるから。今関わっている人たちの3年後がより良くなるような仕事を続けていきたいです」


横山ふみ/Story Designer、Senior Creative Directer
大手映像制作会社で働いたあと、Story Design houseへ。映像やグラフィック、コンテンツを使ったコミュニケーション開発を行っている。共感を生むストーリー開発が得意で、PR戦略から実活動まで広く行う。地方の撮影では、地元の食材を使用したランチを香盤に組み込むことに情熱をそそぐ。