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ものづくりの現場からブランドづくりを考える──新規事業はどう立ち上げるのか
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
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ものづくりの現場からブランドづくりを考える──新規事業はどう立ち上げるのか

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Story Design houseでは、日本のものづくりを支えてきた作り手たちを、ブランドづくりから支援しています。老舗肌着メーカー白鷺ニット工業による初のD2Cブランド「HAKURO(ハクロ)」や、全国の工房・工芸作家のプロダクト開発や販路開拓を行うライヴスによる新サービス「TSUKURIBA(ツクリバ)」です。

これらのプロジェクトにブランド立ち上げ前から携わり伴走しているブランディング・ディレクターの田邊都。ものづくりの現場から考えるブランドづくりに大事なことは何か。今回は、初めてのブランド立ち上げとして2つの事例をご紹介します。

オンラインでの販路開拓、老舗メーカーの挑戦

「年齢に寄り添う、基礎化粧品のような肌着をつくりたい」

兵庫県姫路市で50年以上続く老舗肌着メーカー、白鷺ニット工業の肌着ブランド「HAKURO」は、そんな想いとともに2020年1月に誕生しました。立ち上がっておよそ一年半。ECサイトからスモールスタートし、クラウドファンディングなどを活用しながら、成長を続けています。

HAKUROについて
老舗肌着メーカー白鷺ニット工業による初のD2Cブランド。35歳以上の女性をターゲットに、年齢に寄り添い、肌に優しい化粧品のような肌着づくりに取り組んでいます。国内自社工場で、一枚一枚丁寧に縫製されたコットン100%の肌着は、加齢に伴い敏感になってきた肌をふんわり柔らかく包み込んでくれます。
https://hakuro-wear.jp/
https://www.instagram.com/hakuro_wear/?hl=ja

従来は大手量販店向けに、安価な価格帯の肌着を販売してきた白鷺ニット工業。しかし近年、量販店向け肌着は、ファストファッションブランドなどが展開する世代を問わないワンエイジの機能性肌着などに押されつつあります。

クライアントとワンチームでブランドを立ち上げる

これまでの白鷺ニット工業の強みを活かしたブランドとはどういうものか、答えのないその問いに、自分たちが納得のいく可能性を見つけるところからプロジェクトはスタートしました。当社では、プロジェクトの立ち上げに伴い、PRやブランディング、クリエイティブに強いメンバーでチームを組成、クライアントとワンチームとなって立ち上げから伴走してきました。

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「まずは新ブランドのコンセプトおよびターゲット設定からスタートしました。白鷺ニット工業さまの持つ、数多くの商品の中から、最も手触りのいい肌着をベースに考えていくこととなりました。

『この生地でつくった商品を気に入ってくれるのはどんな人か』を知るためにリサーチを開始。インナーウェアの使い方やニーズ、課題をいろいろと調べる中で、『加齢に伴う身体の変化とともに肌が敏感になる人が増える』という事実がわかってきました。自分自身もちょうど似たような感覚がありましたし、周りにも同じような悩みを感じている人が多くいたことからもマーケットニーズが見えてきて、35歳以上の肌悩みを自覚している人に訴求する商品を作ろうと決めました。

そして生まれたのが、『年齢に寄り添った、基礎化粧品のような肌着』というコンセプトです。基礎化粧品を選ぶ際、多くの人が自分の年齢に合わせた適切な商品を選択しています。一方肌着は、常に肌にもっとも身近な存在であるにもかかわらず、そういった選択肢がない。化粧品にも詳しかった白鷺ニット工業でブランドマネージャーを務める本間光さんとディスカッションを重ね、このコンセプトをつくりあげました。」

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ターゲットが本当に必要とする商品を考える

「ブランドコンセプトに沿う商品を開発するために、商品開発にも深く入り込みました。ターゲットは家事や育児にも忙しい、アクティブに動き回る世代。立ったりしゃがんだりしてもお腹や背中が出ないよう、裾は長めに設計してあります。カラーは数十種類のサンプルから3色を選びました。優しい風合いを感じるネイビー、上品なライトグレー、そしてアウターにも響きにくい明るいブラウン。どのカラーも、肌の色を綺麗に見せることを意識しています。

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二重編みのコットン・ガーゼを使用した、とても繊細で柔らかい生地を使用しました。糸のセレクトや縫い方も生地に合わせた仕様にしないと、着用時に硬さを感じてしまいます。白鷺ニット工業の三木社長をはじめ、ブランドマネージャーを務める本間さん、開発の方にも協力を得ながら、形状、縫製、タグなどのディティールの仕上げまでこだわってつくりました。」

言語化と視覚化でブランドの輪郭をつくりながら、チームの方向性を導く

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ロゴデザインやWebサイト、パンフレット制作などのクリエイティブディレクションを一括して担当してきた中で、田邊が大事にしてきた考えがあります。

ブランドコンセプトを考えるとき、言語化だけでなく、「見せ方」を同時に考えることはとても大切なことです。なぜなら、立ち上げメンバーの中で、ブレない軸となるブランドの世界観を、言語と視覚双方から、より立体的に共有できるからです。

「まだ無い」ものを、バックグラウンドの違うメンバーで共有するのは大変なことです。特に立ち上げ時のブランドさんこそ、商品、パッケージ、販促ツール、流通手段、すべてを並行して多くのメンバーで集中開発しますから、多角的にブランドを表現することで判断軸が増え、ゴールがイメージしやすくなっていくんです。

また、ブランド認知が低い状態だと、総合展示会への出展もコンペとなりますし、メディア露出も競合と並びで紹介されることが多いのですが、そういった中でクリエイティブが秀でていると、ひと目で興味や信頼を獲得できるというメリットもあります。HAKUROでも、とある雑誌の企画で競合インナーブランドとの並びで紹介される記事で、TOP画像に選んでいただきました。」

HAKUROではPR活動としてクラウドファンディングやメディアへの発信に取り組んできました。その結果、ブランド立ち上げの2019年12月〜2020年1月に実施したクラウドファンディングでは、初日に目標の50万円を達成し、最終的に167万円を売り上げました。さらに2020年12月に実施した第2弾のクラウドファンディングでは、開始からわずか5時間で目標金額を達成しました。

「まだ立ち上がったばかりのHAKUROですが、クラウドファンディングの反響や、ユーザーからの「着心地の良さに感動した」という感想、大手百貨店さんとの商談などもスタートするなど、確かな手応えを感じつつあります。まだHAKUROを知らない人はたくさんいます。年齢を重ね肌悩みを抱える多くの人に、HAKUROをしっかりと届けていきたいと思っています。」

HAKURO Project Member
・Creative Direction / 田邊都 (2019.5-)
・PR, Project Manegement / 森祥子(立ち上げ時)
・Brand Text / 鈴木亮一(立ち上げ時)

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コロナ禍で苦しむ伝統工芸品の作り手を支えるプラットフォーム

田邊が立ち上げに関わったもう一つのブランドがあります。地域独自の商品やサービスを発信するライヴスの新規事業として立ち上がった新サービス「TSUKURIBA(ツクリバ)」です。

TSUKURIBAについて
手仕事でものづくりをする全国の工房・工芸作家と、プロダクトデザインや、ブランド開発等で豊富な経験をもつプロデューサーをつなぎ、記念品などの商品をフルオーダーメイドで作ることができるサービスです。
https://www.tsukuriba.net/

優れた職人たちによって作られる、美しい伝統工芸品。長く愛され続けるものがある一方で、デザインが現代の日常生活にはなじみにくいため、市場の小ささが課題となっています。さらにコロナ禍で観光業界が被害を受けた影響で、売り上げは減少傾向にあります。今回の新事業の立ち上げには、ライヴスの「窮地に置かれている伝統工芸品の技術者を救いたい」との想いがありました。

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そういった想いを形にして新サービスのブランドを立ち上げるために、Story Design house ではサービスコンセプトやネーミングの開発から携わり、キービジュアル、コピー、動画、Webサイト制作のディレクション、PR活動にも取り組みました。

「オーダーメイドのサービスなので、商品がまだ目の前にない状態でお客様に選んでもらうにはどうしたら良いだろうと考えて、コピーライターやイラストレーターの方とも何度も話し合いながら伝え方を考えてきました。そもそも、サービスの仕組みが少し難しい上に、商品を買うのではなく「オーダーメイドで作ろう」という市場自体がまだ醸成されていないので、たくさんのハードルがありました。

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買うだけでは得られないオーダーメイドならではのメリットや、TSUKURIBAだから実現できる気軽にオーダーメイドができる敷居の低さを分かりやすく伝えていく必要があり、ライヴスさんと何回も打ち合わせを重ね、サービスの言語化をしていきました。

そこから生まれたのが、
「買う」から「つくる」へ。必要なのは想いだけ。
というコンセプトです。

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PR視点で時流を取り入れ、サービスの価値を発信。テレビ取材へ。

「陶芸や織物など、日本のものづくりの力は世界からも一目置かれています。このサービスの魅力を伝える上で、TSUKURIBAがそうした日本の技術を継承する仕組みでもある、という背景情報を伝えることもとても重要だと考えました。

そこで、サービスローンチのリリースでは、コロナ禍により日本全国のものづくり事業者が仕事を失っているエビデンスなども伝え、サービスの仕組みを伝えました。その甲斐もあって、リリース直後に大きめの媒体からお問い合わせをいただけてとても良かったです。実際にTSUKURIBAを使ってオーダーメイドの卒業記念品をつくられた学校法人へテレビの取材が入り放送されました。

また、広報体制や動画制作、SNS広告出稿などに携わるのが初めてのクライアントさんに対し、立ち上げから拡散まで一気通貫で伴走サポートしながら取り組めたことも良かったことです。」

業界が変わっても、PRの本質は変わらない

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どんなサービス・商品にも、“そのサービス・商品しか持っていない価値”があると信じています。それは、クライアントに深くヒアリングをしたり、事業の背景を積極的に理解しようとしなければ、なかなか見えてきません。でも、その価値を見つけて世の中に伝えられれば、しっかり評価してもらえる。それを見つけ出して世の中へ発信していくのが私の仕事です。

また、せっかく見つけられた価値は、きちんと表現したいと思っています。だからこそ、デザイナーやイラストレーター、WEB制作会社、印刷会社など、関係者とのコミュニケーションには細心の注意を払っています。

自分の中のイメージを正確に理解してもらうために、ときには言葉だけでなく、絵に描いたりもしながら表現してほしいことを伝えます。さまざまな分野のプロフェッショナルとコラボレーションしながら形にしていけるのは、この仕事の面白いところですね」

長く会社を支えていけるブランドをつくらなければ、意味がない。

田邊都 / Branding Director
建築学科卒業後、ブルースタジオなど建築設計事務所にて、企画から設計実務、現場監理、商品ブランディング、プロモーションまでをワンストップで担当。築年数の古い社宅やオフィスビルなど、数々の遊休不動産をリノベーションし、デザインの力でビジネスの成長をサポートする経験を積む。
現在は、建築に限らず幅広い事業領域を対象とし、作り手と使い手をつなぐストーリー設計でブランディングおよび、クリエイティブディレクションを行う。

設計士の資格を持ち、建築事務所で働いていた際に、自ら手掛けた物件のPR業務を通じて建築業界以外のPRにも関心を持ったのがきっかけで、空間づくりからPR、ブランディングへとキャリアの幅を広げてきました。

「『いかに長く続くブランドをつくれるか』を、ずっと考えていました。クライアントが抱える何百人という社員を支えていくブランドにするためには、クライアントの思いをきちんと反映させることが何より大切だと考えています。

そう考えるようになった背景には、建築業界で設計士として働いていた前職の経験があります。例えば、お客様が『大きなダイニングテーブルが置ける家に住みたい』と仰ったとしても、言われた通りに設計してはいけないんです。なぜなら、それが本当に長く付き合える家なのかはわからないから。

お客様がどういう価値観をお持ちで、これからどうしていきたいと考えているのか。それを徹底的にヒアリングして、お客様の中の潜在的な希望を実現する方法を考え、家づくりに落とし込むことを大切にしてきました。ブランディングやPRの世界でも、それを変わらずに実行しています。

建築業界でも、PRやブランディングの業界でも、お客様と向き合う基本は変わらない、と感じています。」

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(写真:Kohichi Ogasahara、小川優樹)

Story Design houseでは現在、クリエイティブディレクター、および、アシスタント職で活躍できる人材を募集しております。以下バナーより採用ページをぜひご覧ください。

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