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アジアのディープテックスタートアップが柏の葉に集結! 8年目を迎えたAEA
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アジアのディープテックスタートアップが柏の葉に集結! 8年目を迎えたAEA

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ディープテックスタートアップは世界を変えるのかーー。ディープテックやそれにまつわる企業やイベントについて情報を発信していく連載「ディープテック インパクト」。今回は私たちStory Design houseが広報をお手伝いしている、日本最大級のディープテックカンファレンスAEAを紹介します。

日本発のディープテックカンファレンス

みなさんは「スタートアップの祭典」と聞いてなにを思い浮かべるだろうか。アメリカのSXSW(South by Southwest)、フィンランドのSlush、あるいはフランスのVivaTech。アジアに目を向ければ、シンガポールのEchelon Asia SummitやTech in Asiaなどがある。

多くの人は上記のような海外発の、華やかなカンファレンスを思い浮かべるかもしれない。しかし日本にもその舞台はある。それが2012年から千葉県・柏の葉キャンパスにて毎年開催されているアジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)だ。

AEAはアジアを中心とした国と地域からディープテックスタートアップが集い、ビジネスを競いながら国境を越えた起業家ネットワークを構築する、国際的なイノベーション・アワードである。

エントリーできる企業の条件は「AI/IoT、もしくはメディカル/ヘルスケア分野のテクノロジースタートアップ」。言い換えれば、エントリー企業はディープテックスタートアップに限定されている。

ディープテックとは、大学や研究機関などで培われ、事業化してマーケットに出るまでに莫大な投資を必要とする技術を指す。しかし、普及したあかつきには、世の中に大きなインパクトを与えうるものだ。これまでのスタートアップ業界では、初期投資が少なく、事業化までの期間が短いWebサービスへの投資が目立っていた。上記であげたカンファレンスも、多くはこうしたシャロー(浅い)テックを武器にするスタートアップが集まる。一方AEAは日本発で唯一、アジアのディープテックスタートアップが集まるカンファレンスだといえる。

AEAは地味だ。音楽や映像のイベントが同時開催されているわけでもないし、野外フェスのような演出が施されているわけでもない。しかし、大学や研究機関で培われた武器をもとに、エッジの効いた事業を構想するスタートアップが毎年集まる。そして開催地である柏の葉スマートシティでは「世界の未来像をつくる街」を目指したユニーク取り組みが進められている。

このnoteではAEAについて、「アジアのディープテックが集結する」「柏の葉スマートシティを基盤にしている」という点にファーカスして紹介する。

21世紀はアジアの時代 

去る10月30日から11月1日までの3日間、今年も千葉県・柏の葉キャンパスでAEA2019が開催された。

今回もアジアを中心とする14の国と地域から27社がエントリーし、シンガポールのAcumen Research Labsが優勝した。同社は敗血症を短時間で検出できる検査手法を開発したことが評価された。

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AEA2019で優勝したシンガポールのAcumen Research Labs

昨年2018年に優勝したニュージーランドのIMAGRは無人小売店舗システムを開発、2017年優勝企業であるClaro Energyは農業向けのソーラー灌漑システムを提供する会社である。いずれもディープテックを武器にしたスタートアップだ。

AEAが掲げるミッションは「アジアにおけるイノベーションのエコシステムの構築」である。第1回が開催されたのは、日本におけるベンチャー支援がいまほど活発ではなかった2012年。スタートアップ・カンファレンスは世界各地で開催されていたものの、日本の企業や組織が主導となったものはなかった。日本のガラパゴスなベンチャー支援状況に危機感を抱いた東京大学教授の各務茂夫氏(現AEA運営委員長)が発起人となり、アジアの熱い風を日本のスタートアップコミュニティに送り込むべく立ち上げたのがAEAだ。

AEAの前提にあるのは「21世紀はアジアの時代」であること。そして、そのなかで日本がいかに経済成長していくかという問題意識である。

2050年には世界全体のGDPの半分以上をアジアが占めるとされている。2019年現在のユニコーン企業を眺めてみても、中国やインド、インドネシアなどの企業が多い。シリコンバレーのベンチャー・キャピタルや投資家も、アジアの企業に注目している時代だ。

一方で日本に目を向けると、1992年には日本企業が時価総額世界トップ30の約3分の1を占めていたにもかかわらず、2017年には1社も名を連ねなくなっているという事実がある。この現実を受け止めた上で、日本と日本企業はどうあるべきか、という問いがAEAの原点にある。

眠れる研究のフロンティアとしてのアジア

企業や経済の成長率が注目されがちなアジアだが、優れた研究が眠っている場所として見ることも重要だ。

AEAはディープテックスタートアップの社会実装を支援するTEP(TXアントレプレナーパートナーズ)と東京大学が共催に名を連ねており、アカデミックな研究成果を背景にしたスタートアップの支援に強い。アジアの技術をいかにビジネスとして事業化し、社会に実装していくかもAEAの大きなミッションだ。各務氏は今年7月に行われたAEA2019プレイベントにて、以下のようにAEAの意義を話している。

「大学にあるサイエンスをイノベーションに結実させるためには、それがビジネスにつながることをアピールするためのショーケースが必要です。セクシーな技術とアントレプレナーシップを持った若いチームが、社会課題の解決につなげるビジネスアイデアを競い合い、披露するためのショーケースがAEAなのです」

「世界の未来像をつくる街」柏の葉スマートシティを基盤に

大学やアカデミックな研究との結びつきが強い理由は、開催地である柏の葉にもある。柏の葉キャンパス駅を中心とする柏の葉エリアは東京大学や千葉大学、産業技術総合研究所や国立がん研究センター東病院など、日本有数の国立大学、医療機関、研究機関といった最先端の知が集結している。その知の基盤を活かして、AI/IoTなどの最新テクノロジーを活用し、公民学連携で未来の課題解決型街づくりを目指す構想が「柏の葉スマートシティ」だ。

「実証実験タウン」として様々なプロジェクトも展開している。世界初のMaaSアプリとして知られるフィンランド発の「Whim」が柏の葉で実験的にサービスを始めることや、自動運転バスによる営業運行実証実験が発表されたのは記憶に新しい。柏の葉スマートシティは、課題解決の街づくりモデルを具現化する「世界の未来像をつくる街」を目指している。

柏の葉を舞台に飛躍するスタートアップ

AEAの受賞選定基準は、柏の葉エリアとのシナジーが前提とされている。入賞したスタートアップには、柏の葉エリアが実証フィールドとして提供され、成長のためのサポートを受けることができる。

AEA2017の受賞企業のひとつであるゲノムクリニックは、ゲノム遺伝医療を事業としている。病気を「治療する」のではなく「予防する」観点が、柏の葉スマートシティが掲げる「新産業創造」「健康長寿」と一致していたことも入賞の決め手となった。ゲノムクリニックは現在、柏の葉の31VENTURES KOILにオフィスを構えている。

2018年から、それまでは「テクノロジー・スタートアップ」というものだったエントリー条件が、「AI/IoT、もしくはメディカル/ヘルスケア分野」と限定された。他カンファレンスとの差別化や、柏の葉スマートシティとのシナジーをより生み出すことが狙いだ。

その成果は今年のAEAにも表れている。審査員を務めるTEP代表理事・國土晋吾氏は「去年から分野を絞ったことにより、より近しい分野での競争がおき、スタートアップの提案する事業の質があがってきている。特にバイオ系の分野での成果が目立った」と語った。

「課題解決先進国・日本」への足がかり

今年のファイナルセッションにはAI/IoT分野から3社、メディカル/ヘルスケア分野から3社の合計6社が進出している。優勝したAcumen Research Labsは敗血症を短時間で検出できる検査手法を確立。2位は膀胱がんの診断アプリケーションを開発したBioCheetah Pte Ltd。3位はIoTビルディングブロックのプロバイダーを開発したCavli Wirelessだった。

AEA2019について各務氏はこう振り返る。

「今年は全体的によりパワフルでした。特に印象に残っているのは、各企業が具体的な課題解決にむかっていたことです。あるものは敗血病にフォーカス、あるものは膀胱癌にフォーカス、あるものは腎臓不全の問題にフォーカスする。明確な社会課題にアプローチする事業が目立ちました。日本が『課題先進国』ではなく『課題解決先進国』となっていくためのヒントが多くあったように思います」

アジアのディープテックスタートアップの拠点へ

各務氏は来年以降のAEAの展望について「AEAに過去参加した企業のなかには、すでに世界各地で事業化に成功している企業もあります。そうした先達が審査や投資をする側にまわってくれば、AEAがエコシステムとして成熟したということになる。そうした日も遠くないように感じています。AEAがアジアにおけるイノベーションのプラットフォームの確固たる基盤となれるよう願っています」と語った。

柏の葉という街全体を巻き込んだ取り組みも進められている。今年からAEAの開催日にあわせ、10月26日から11月4日の合計10日間にかけてKashiwa-no-ha Innovation Fes.が開催された。柏の葉スマートシティにおいて、ノーベル賞受賞者である梶田隆章氏をはじめとした柏の葉を拠点とする研究者の講演プログラムや、東京大学柏キャンパスにて研究されているロボットやモビリティなど最新技術の体験型コンテンツが実施された。

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通常の人体では表現できないダイナミックな腕や足の動きを実現できる「SKELETONICS」

アジア諸国の経済成長や発展が本格的に世界の形を変えていくのは、この先の数十年間だ。世界のディープテックの潮流もまだ芽が出始めたばかりである。SDGsに代表されるような持続的な社会を追求する動きも世界的に広がるなかで、深い社会課題を深い技術で解決していくディープテックがより求められていくだろう。

AEAには日本がアジア諸国の企業とどう向き合っていくべきか、そしてスタートアップやディープテックの動きをいかに日本で展開させていけるのかについて、未来を考えるためのヒントがたくさん詰まっているように思う。

参考文献:『ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」』(丸幸弘、尾原和啓)

(文:原光樹)

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