SNSで社会課題をひらく──ソフィとパンテーンに学ぶ
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SNSで社会課題をひらく──ソフィとパンテーンに学ぶ

Story Design house

こんにちは、Story Design houseインターンの伊豆田です。

Story Design houseはコミュニケーション戦略パートナーとして、さまざまな企業や団体を支援しています。コミュニケーションやPRの設計にはいろいろな情報が必要です。私は主に、それらの情報をリサーチする業務に携わっています。

今回は、私が関心を持ったPR事例をもとに、社会課題に取り組む上でのPRについて考えます。

『僕らはSNSでモノを買う』によれば、SNSマーケティングのためにはUGC (User Generated Contents) を多く発生させることが必要です。UGCとは、ユーザーが自分の意思で投稿するコンテンツのこと。それを増やすために、ユーザー参加型のコンテンツを発信することが提案されています。

私はさまざまな社会課題の解決に関心を持っています。この一節を読んだとき、「ユーザー参加型SNSマーケティング」をソーシャルグッドなプロジェクトのPRに使えないかと考えました。なぜなら、社会課題を解決するためのプロジェクトには、当事者のみならず、多様な人を巻き込むことが必要不可欠だからです。

そこで調べて、見つかった事例をご紹介します。

事例①:「#NoBagForMe」

「#NoBagForMe」をご存知でしょうか?
生理用品ブランド「ソフィ」による、生理用品を購入する際の「選択肢の多様化を目指す」プロジェクトです。

女性が生理用品を購入する時に、紙袋で包む理由は、世の中の人々が生理という現象に対して心のどこかで、「恥ずかしい」や「隠したい」と感じていることに起因するのではないかと捉えています。

そこでソフィは、女性の体に自然に起こる生理について、「気兼ねなく語れる世の中であってほしい」との願いを込めて、意見や情報交換を行える世の中の空気感の醸成を行うために、まずは紙袋で生理用品を隠す必要性を感じさせない、新しいパッケージのデザインを開発します。
http://www.unicharm.co.jp/company/news/2019/1211463_13296.html より

私も生理がある女性として「生理用品を隠す」という行為には疑問を感じていたので、このプロジェクトに関心を持ちました。

「隠す」という行為には、その対象物をタブーであり、ネガティブなものと定義する効果があります。生理用品を隠すと、生理がネガティブなものであり、恥ずかしいものであるというイメージを追認し、強化してしまう可能性がある。

それは生理がある人たちと、これから生理を迎える子どもたちにとって、自分たちの体を承認できないということになりかねません。

#NoBagForMe はこのような状況に対し、隠す必要を感じさせない新しい生理用品のパッケージを開発することを打ち出します。そこでソーシャルを巻き込むために採った戦術の一つは、ユーザーがタンポンのパッケージを投票で選ぶというものでした。

#NoBagForMe はタンポンの新しいパッケージデザイン案を3種類公開し、3週間に渡ってSNSで人気投票を募りました。

・公式Twitterアカウントのアンケート投票数
・公式Twitterアカウントからの、それぞれのデザインについての投稿についたいいね!数とRT数
・公式Instagramの各投稿へのいいね数

最終的に、上記を足し合わせたものを得票数として、パッケージが選ばれました。

アンケート機能でユーザーの連帯意識を醸成

#NoBagForMe において私が着目したのは、アンケート機能によって問題意識を共有している集団の大きさが可視化される点。これにより、問題の大きさを伝え、かつユーザーの連帯意識を醸成することも可能になります。

ソーシャルグッドを目指す団体が、この効果を利用しない手はないと思います。

ただし、社会課題のPRにアンケート機能を利用するうえで、注意しなければいけないこともあるでしょう。それは回答者の母集団の問題です。

ある社会問題に取り組む団体があるとして、その団体がSNSでアンケートをとった場合、回答者はもとからその社会課題に関心のある層がほとんどになります。
それは関心のある層の連帯にはつながりますが、そのアンケートの結果が社会全体を反映していると思い込んでしまうことには危険が伴います。

また多数決の性質上、少数派の意見を拾い上げることが忘れられがちな点にも注意が必要です。#NoBagForMe は公式noteで議論の過程を公開し、少数派の選択肢を支持する人の意見も尊重していました。

社会問題を扱う場では、多様な意見があることを踏まえた上で、繊細なコミュニケーションが必要になるということも分かります。

事例②:「#令和の就活ヘアをもっと自由に」

もうひとつ紹介したいのは、「#令和の就活ヘアをもっと自由に」というパンテーンによるプロジェクトです。

多くの企業がダイバーシティを唱えているのにも関わらず、就職活動の時期にみられる没個性的で画一的な学生たちの姿。その流れを変えるには、多くの人事関係者の声が必要なのかもしれません。ぜひ一緒にこの問題について考えてみませんか?
https://www.onecareer.jp/lp/pantene/ より

パンテーンは、就職活動の際に髪型が画一化されていることへの問題提起をし、「内定式の髪型は"黒いひっつめ髪"でなくてもいいと思いますか?」という問いを投げかけます。公式ページのリンクをクリックすると「#令和の就活ヘアをもっと自由に」をつけたツイートが投稿できる仕組みです。

私も就職活動を控える身として、画一化された「就活ファッション」に疑問を感じていました。

「#令和の就活ヘアをもっと自由に」というハッシュタグは2019年10月10日時点で15,000ツイートに達しています。このタグが広まった理由はふたつあると考えます。

ひとつは、賛同企業を集めたこと。139社がこのキャンペーンに賛同し、連名で新聞広告を出しました。それぞれの企業がそれぞれの公式Twitterアカウントで「#令和の就活ヘアをもっと自由に」を発信したことで、より多くのユーザーにリーチしたと考えられます。

そしてもうひとつの理由が、ユーザー参加型の手法を採用していることです。

ここで使われた手法は以下の3つです。

①ハッシュタグの活用
「#令和の就活ヘアをもっと自由に」というハッシュタグの利用を促すことで、ユーザーがハッシュタグを自由に使っていいものだという雰囲気を作り出しました。

②Twitterのカンバセーショナルカード機能
カンバセーショナルカードとは、選択肢を選ぶとハッシュタグ付きでツイートが作成される機能のことです。

選択肢を選ばせることで、ユーザーがハッシュタグ付きでツイートすることを促すことができます。

③公式サイトからTwitterへの誘導
先述したように、公式サイトには「内定式の髪型は"黒いひっつめ髪"でなくてもいいと思いますか?」という質問が提示されています。ここでも「いいと思う」「いいと思わない」どちらの選択肢を選んでも、「#令和の就活ヘアをもっと自由に」というハッシュタグ付きでツイートが作成されるようになっています。

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ハッシュタグを作ればユーザー参加型に近づけることができます。しかしハッシュタグが長ければ長いほど、ユーザーはそれを入力することに億劫になってしまう。

カンバセーショナルカードと公式サイトからの誘導により、半ば自動的にハッシュタグをユーザーが呟くことができるようにすることで、ユーザーの参加率を向上させました。

ハッシュタグでユーザー参加を促す

「#令和の就活ヘアをもっと自由に」は、ハッシュタグを広めることによってユーザー参加を促したことに要点がありました。

広告主などが直接発信する情報よりも、ハッシュタグをつけて多数の第三者がツイートしているほうが、それを見た別のユーザーにとっては信頼できる情報となりやすいからです。

一方で、ハッシュタグを作って広めようとするときに生じるハードルはふたつあると考えられます。ハッシュタグが認知されないことと、認知されていても入力が面倒でつけてもらえないことです。

「#令和の就活ヘアをもっと自由に」キャンペーンでは、他の企業との提携によってハッシュタグの認知を高めました。他の団体を巻き込んで同じハッシュタグを発信していくという方針は参考になります。

また、入力が面倒であるという課題について、「#令和の就活ヘアをもっと自由に」ではハッシュタグつきツイートの自動生成という方法を採っています。
また、覚えやすく入力しやすいシンプルさのハッシュタグにすることが重要です。

中小企業やベンチャー企業、個人事業主といった、広告予算が潤沢にとれない企業やビジネスパーソンにとって、今ほど「下剋上」を起こしやすい時代はありません
『僕らはSNSでモノを買う』より、太字原文ママ

SNSによって、広告予算が少なくても適切なPRをすれば多くの人に届けることができる時代になりました。

その一手段としてのアンケート機能やハッシュタグの活用は、これからの課題解決においてもっと活用していけるのではないでしょうか。

Story Design houseでは「意志あるところに道をつくる」をミッションとして、さまざまな企業のPR活動を支援しています。是非、ウェブサイトもご覧ください。
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