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「なんでテレビなのにネットで有料配信するんですか?」 ”試すテレ東祭”について聞いてみた

テレビ東京の新たなプロジェクト、「試すテレ東祭」。オンラインでテレビ東京と視聴者がつながることを試みるイベントで、6月27⽇から9⽇間連続で開催される「テレ東無観客フェス 2020」は、池袋の複合エンターテインメント施設「Mixalive TOKYO」から無観客で有料⽣配信される。

テレビ局がネットで有料配信? なにか長期的なネット配信戦略と関係しているのだろうか? 気になったPR Compass編集部は、テレビ東京プロデューサー・工藤里紗さんに話を聞いてみました。

工藤里紗さん
テレビ東京 制作局クリエイティブビジネスチーム/プロデューサー。
慶應義塾大学環境情報学部卒。担当した番組は「シナぷしゅ」「昼めし旅」「アラサーちゃん 無修正」「インベスターZ」 「極嬢ヂカラ」など多数。

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テレ東の「まずやってみる」精神で生まれたイベント

――「テレ東無観客フェス2020」ってなんですか?

テレ東の番組プロデューサー・ディレクター陣がイベントを開催して、それをオンラインで有料配信するという企画です。連続9日間、毎日違うプロデューサーが入れ替わりでイベントを行います。

――どういう経緯で生まれた企画なんでしょうか?

今年の3月に、Mixalive TOKYOという施設が池袋にできたんです。講談社さんが運営母体でブシロードさんやUUUMさんなどと一緒にテレ東のスタジオも入ってるんですけど、新型コロナウイルスの影響でぜんぜん使えていないんですよね。でも家賃は払っていてもったいないから「あの場所を使って好きになんかやってみろ」と社内で突如号令がかかりまして。

――なんと。

本来はお客さんを入れてイベントを行うはずの場所なのですが、現状まだ難しいので、無観客で有料配信してみよう、と。

他のキー局さんはお台場とか汐留とか赤坂とかに素敵な場所をお持ちなんですけど(笑)、テレ東はなかったんです。Mixalive TOKYOはテレ東のリアル拠点になっていくはずなんですが、新型コロナウイルスの影響で開業発表もほとんどできてなくて。

――ネット配信の新しいビジネスモデルを構築していこう、みたいなことでは……。

ないですね(笑)。家賃を払っているのに活用できてない場所がある、もったいないからなんかやろう、そんな感じです。うちらしいなと思います。

――たしかに。

テレ東には「まずやってみる」という文化があります。今回の無観客フェスのラインナップは、テレ東のプロデューサー陣が「やってみる」精神で考えた企画が集まっています。

ロンブーの田村淳さんが、テレ東は失敗から何かを得るのが上手だと話されてますが、そういう雰囲気はありますね。

このフェス開催が決まったのって、ほんの3週間くらい前なんですよ。準備期間は短いんですけど、好きなようにやっていいと言われたので、みんな普段から考えてたことを企画にしている感じです。

性への「無意識な思い込み」をアップデートする企画

――いずれの企画も、テレビで放送するのは難しそうなことに挑戦されてるように思います。

それはありますね。報道などは別として、娯楽としてのテレビ制作は、伝えたいことや放送する‟意義”もありますが、ベースは「視聴率=数字を稼ぐ!」ことか、番組を例えば配信プラットフォームに売ったり、DVD展開したりして「お金を稼ぐ!」ことが求められます。

数字やお金のことを考えるのはもちろん大切ですが、実はこの二つが絡むと決断と準備の時間も掛かることが多いんです。その裏で、”短期的な数字”には繋がらないかもしれないし、失敗するかもしれないけど、チャレンジすることに意味があって埋もれている企画はたくさんあります。今回は急な話ということを逆手に取って、いろいろ大変なんですけど、やりたいことを「やってみる」チャンスが来た!という感じですね。

――工藤さんの担当企画について教えてください。

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6月30日(火)に行われる工藤さん企画のイベント
出演:SHELLY、鈴木涼美(作家・社会学者)、宋美玄(産婦人科医・性科学者)、峰なゆか(漫画家)、ゆきぽよ(モデル・タレント) 

子どものための性教育というのが今あらためて話題になってますけど、大人も「性にまつわる認識」を更新していく必要があると思うんです。

性教育というと、生理や精通のこと、セックスと妊娠のことといったイメージがありますよね。でも、そもそもこの世の中にはいろいろな人がいる。自分とは違う他者について知り、考えて、相手を傷つけないように付き合っていきたい、そういうことを学ぶのが「生きていくために必要な性教育」の第一歩なんじゃないかなと。

性はタブー視されやすい話題で、ちゃんと言葉にされずにうやむやにされてきました。それってきっと男女ともにメリットもあったんですよね。でも今はそういう時代ではなくなってきています。「性的同意」といいますけど、実際どうやって同意を取ればいいのか。いままで言葉にされてこなかったことを、語っていかなければならないなと。

セクハラ問題、ジェンダーのこと、性自認のこと、いろんな話題がありますが、「今ってこんな状況だよね」ということを話していきたいと思っています。

――キャスティングはどのような意図でされたのでしょうか?

みなさん、忖度なしに自分の言葉で語っていただける方たちです。センシティブに捉えられやすい話題だからこそ、過剰に強い物言いをするだけでなく、ウィットにとんだ笑いも織り交ぜて、分断を生まない言葉で語らえたらいいと思っています。今回のゲストたちはそれが可能な人たちです。

これからのテレビと番組づくり

――すごく素敵な企画だと思います。ところで、イベント後の展開は考えられてるんですか?

なにも決まっていません(笑)。もちろん、今回の企画を再構成してテレビ放映したり、継続的なイベントができれば最高です!

――配信プラットフォームへの販売について少し話がありました。テレビ番組の視聴環境はどんどん変わってきていますよね。

映像エンタメはテレビという家電を通してだけ提供されるものではなくなっていて、それは今後どんどん進んでいくと思います。環境は変わっているし、これからも変わっていくでしょう。

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テレビ東京もParaviなどを通じてネットでのオリジナル番組も制作しています。また、例えばNetflix、Amazon、Hulu等いろんなプラットフォームとお取引しているので、ネット配信に関する意識は強いです。

――今回の「無観客フェス」、個人ひとりひとりにチケットを買ってもらうという点が、マス向けの番組制作とは違うのかなと想像します。

たしかにそうですね。でもテレビ局の事業ってけっこう幅広くて、個人向けにもやってるんですよ。コンサートや美術展の制作もしているし、映画の配給なんかもそうです。

私は番組を作るとき、はっきりと顔の思い浮かべられるような視聴者像を想像しています。マスという漠然としたものではなく、画面の向こうで観てくれている一人の人に届けることをいつも意識しています。

――今回の企画は、どんな人に観てほしいですか?

出演者は女性ばかりになっていますが、男性にも女性にも観てほしいと思っています。セクシャルマインドセットを更新しなきゃいけないのは、もちろん男性に限ったことではありません。女性だって、たとえば同僚に何気なく容姿を比較するような発言や、「なんで彼女作らないの?」なんて言ってしまったりする。片方の性だけの問題ではないんですよね。

それから、社内の人たちにも観てほしいです。テレビ局は比較的古い体質があって、もちろん昔よりはずっとよくなってますけど、アップデートされていない人はまだまだ多いです。

今回の無観客フェスはテレ東にとっても挑戦ですが、プロデューサーである私にとってもいい挑戦にできたらと思います。ぜひ、チケットをお買い求めください!

――本日はありがとうございました。私たちも観ます!

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・視聴するためのチケットはこちらで購入できます

(聞き手:原光樹 構成:鈴木亮一)

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