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この時代に想う「伝える」ことへのまなざし。

こんにちは、Story Design houseの隈元です。

今年4月、広島平和祈念資料館がリニューアルしました。

リニューアル後の資料館にまだ行ったことはないけれど、8月6日の広島原爆の日の前後には、複数のメディアが広島平和記念資料館のリニューアルを報じていました。年の瀬になりましたが、その時、報道を見て感じたことを今回は書いてみます。

記憶の継承に、なにが必要なのか。

「戦争の記憶を、どう伝えていくべきかーーー」

これが、リニューアルにおける最大の“問い”であったといいます。いま時代の変化の中で、戦争体験者はどんどんと減っていき、近年では記憶の継承が喫緊の課題です。

リニューアル前の平和記念資料館には、入り口に「被爆再現人形」のジオラマ展示があり、それは原爆の悲惨さを伝える一つの象徴でした。ただ、「原爆の惨状はこんなものではなく、悲惨さを伝えきれていない」といった被爆者の思いや、来館者にとってインパクトの大きいその展示に、長年、賛否両論の声が挙がっていたそうです。

語り手となる体験者がいなくなってしまう時代が間もなく訪れる。その時代に向けて、出来事が矮小化される流れを作らないこと、そのためには、「事実」で語るべきであるといった方針が、検討委員会の長年にわたる議論の末に導き出されました。そして、被爆再現人形のジオラマ展示を撤去する方針が決まったのです。

(参考:2010年から開催されてきた「広島平和記念資料館展示検討会議」の議事録一覧)
http://hpmmuseum.jp/modules/info/index.php?action=PageView&page_id=186

この方針決定に対して、撤去に反対するウェブでの署名活動がおこり、1万人に及ぶ署名が集まりました。それでも熟慮の末、検討委員会はジオラマ展示の撤去を貫きました。2014年の委員会では、ジオラマ展示に勝るものとして、「事実」を伝える「実物展示」の意図を広く伝え、リニューアルオープンまでの数年間で理解醸成をしていくことの必要性が語られています。

時代とともに変わりゆく伝え方

新たな資料館の顔となったのは、一枚の少女の写真。原爆が人にどう被害を与えるかを伝えるために、身元がわかっている少女の写真を選んだそうです。資料館の中へ入ると、被爆者の遺影、遺品、エピソード、絵、写真など538点が展示され、一人一人の人生を通して原爆を知ることができます。

「原爆は威力として知られたか 人間的悲惨として知られたか」

これは、地元、中国新聞の論説委員であった金井利博さんの残した言葉です。「実物展示」によるリニューアルに通ずる想いとして、複数のメディア(テレビ記事、インタビューなど)で引用されています。

資料館は、答えを提供してくれる場所ではありません。「事実」を展示することで、訪れた人が遺品と向き合い、対話し、当事者となって考えることを促しています。直接の戦争体験者が不在になっていく中、新たな時代の個々の人々に記憶を継承し、新たなストーリーを芽生えさせていくことに取り組んでいます。

それは、マスでは響かない、「個」と「ストーリー」の時代への変化にも見えます。伝え手が変わり、受け手が変わる。時代が変わり、伝え方が変わる。今回のリニューアルは、その一つの象徴に感じられました。

「伝える」とはなにか。そして、「PR」とはなにか

「PR」は、様々な定義で語られます。「PRしたい」という思いの側に立ってみれば、情報を伝え、感情を喚起し、その先に行動の変化が起こることを期待する行為です。感動、共感、憧れ、応援、批判、反発…。伝えたその結果、感情を動かし行動を促すことで、伝える前とは違う状況を起こしていくのです。

では、伝えるべき「情報」とはなんでしょうか。

今回の資料館のリニューアルに関する一連の流れ(発信、報道、そして反応)から読み解いてみます。
「情報」を届けたその先に感情を喚起させることを考えると、「情報=想い」と言い換えられはしないでしょうか。「想い」を「情報」として伝え、「感情を動かし、行動の変化を促すこと」、それがPRです。そして、その行為の副次的な効果として、発信者の価値も形作られていくのです。

PR = 想い(情報)を伝える + 感情を喚起(行動の変化を促す)= 発信者の価値形成

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私たちStory Design houseは、コミュニケーション戦略パートナーとして活動している会社です。

この時代に「伝える」ことへのまなざしを持ち、「伝える」ことによって感情を喚起する行為である「PR」を見つめ、そして常に新たな時代の実践者であり続けたいと思っています。

Story Design houseでは「意志あるところに道をつくる」をミッションとして、さまざまな企業のPR活動を支援しています。是非、ウェブサイトもご覧ください。
お問い合わせはこちらから。 https://www.sd-h.jp/contact


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