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戦略PRの世界に異業種・30歳で飛び込んだ初心者が選ぶ、本当に役立ったPR本5冊

こんにちは。Story Design houseの新井です。

Story Design houseは、スタートアップ企業や企業の新規事業など「世の中に新しい価値を生み出す」ことに挑戦している企業の事業成長を、コミュニケーション戦略から支援しています。いわゆる、戦略PRの会社です。

そのなかで、私はコミュニケーション戦略の設計からメディア(テレビ、雑誌、新聞、webメディアなどの記者・ディレクター)とのコミュニケーション、取材のアレンジ、イベント企画・実行まで、幅広い業務を担当しています。

しかし、2年半前に30歳で弊社に転職したときには、広報のことを全く知らない初心者でした。それまでの私は、大学卒業後に新卒で大手人材紹介サービス会社へ入社し、求人広告営業(5年)と営業企画(約4年)を経験していたため、一般的な企画提案やプロジェクトのディレクションならばわかるものの、広報の実務はさっぱりでした。しかも、ブランディングに関わりたい(!)という転職理由だったこともあって、最初からPRへの強い想いがあったわけでもありませんでした。

そこで本記事は、初心者でありながら、中途採用で即戦力を期待される立場だった私が、実践で使えるPRの知識やノウハウを身につけるうえで本当に役に立った書籍5冊を紹介します。新しく広報担当になった方や、広報担当ではないけれどPR広報について学びたい事業推進者の方にとって、参考になれば幸いです。

【小さな会社】 逆襲の広報PR術

何もわからないままPRの現場に飛び込んだ私が、最初に出会った良書が『【小さな会社】逆襲の広報PR術』です。この本は、雑誌編集者からベンチャー企業の広報担当に転身し、その後PR会社を立ち上げた著者が、中小・ベンチャー企業のPR広報の具体的なノウハウを紹介したものです。

著者は自身の経験から、大企業と小さな会社では、とるべきPRの戦略・戦術が違うと言います。そのうえで、小さな会社がとるべきPR戦略のノウハウについて語っています。著者の具体的な方法論の数々は、”攻めのPR”をする上で非常に参考になることが多かったです。

広報という仕事に就くと、ほかの職種以上に具体的なノウハウや知識が大切だということに気付かされます。たとえば、メディアアプローチに関する知識。クライアントとディスカッションをするためには、メディアのこと(=主に記者が興味を持つ視点)を知る必要がありますが、初めはこれがさっぱりわかりません。もっと言えば、そもそもどの記者の方と話をすればよいか? どれくらいの時間帯に連絡すればいいか? 忙しい記者に時間をとっていただくにはどうしたらよいか? いざ仕事を始めようとすると、そんな初歩的な不安がたくさん出てくるのです(私の場合、連絡した記者の大半の方はきちんと話を聞いてくださいましたが)。

そんな悩みに直面している人は、ぜひこの本を読んでみてください。”明日から使える具体的なノウハウ”がたくさん詰まっています。特に最初に読むことをオススメします。

デジタル時代の基礎知識 『PR思考』

次に、メディアの方が興味を持つ視点はどのような情報なのか? という、もう少し抽象的な悩みが出てきたところで役に立った書籍が「デジタル時代の基礎知識『PR思考』」です。


これは先ほどの本と比べると、PRの考え方を学べる書籍です。著者は電通PRパブリックリレーションズに在籍するお二方で、PRを「パブリシティを獲得するための手段や技を意味する“PR手法”」と「自社・自ブランドの発言や行動に対して、世の中がどのような反応を起こすかを考える“PR思考”」に整理しています。

この本は、とりわけ後者にあたる“PR思考”を獲得するための考え方を学ぶことができる書籍になります。少し業務に慣れてきたら、本書を通じて、「PRを通じて企業と社会との関係構築を行う」という“PR思考”の基本を知ることが有益だとおもいます。

「広報・PRの基本」

続いて、「広報・PRの基本」という、辞書的に使える本です。

転職当初、PR広報に関する書籍を色々と探してみましたが、最初はこれというものがあまりない印象でした。というのも、広報に関する情報を網羅的に扱っている教科書や辞書のような書籍は数多くありますが、私のようなPR代理店にいる人間に必要な”攻めのPR広報を深く学べる書籍”はあまりない印象を持っていたからです。もちろん、教科書のような書籍が悪いという話ではなく、急速に知識を身につける必要があった当時の私のニーズに合っていなかったということです。

そういったなかでも、辞書的な本としてこれは役立つと感じたのが本書です。困りごとがあったとき、これを1冊持って辞書のように引いてみると非常に便利です。とりわけ取材時の対応やPR広報において気をつけることなど、危機管理に近い領域で役立ちます。

欲しい ほしい ホシイ── ヒトの本能から広告を読み解くと

ここからの2冊はPRという専門分野そのものからは少し外れますが、広報の仕事において参考になった書籍をご紹介したいと思います。4冊目は、「欲しい ほしい ホシイ── ヒトの本能から広告を読み解くと」です。

Playstationやキリン一番絞りなど数多くの日本を代表する企業、ブランドの有名広告コピーを世に送り出してきた小霜和也さんの広告とヒトの関係性に関するお話です。

小霜さんが過去に経験してきた仕事と進化心理学の知見から、人間の本能や認知の性質を踏まえた内容になっており、広告コピーや広告クリエイティブは人の脳にどのような影響を及ぼすのかなど、ヒトの本質に迫った内容が詰まっているように感じました。広告もPRも同じコミュニケーションの一形態と捉えると、PRパーソンにとっても参考になる内容ではないかと思います。

欲望する「ことば」  「社会記号」とマーケティング

最後は、「欲望する『ことば』 『社会記号』とマーケティング」です。

実はこの書籍を購入するに至ったきっかけは、2冊目でご紹介した「デジタル時代の基礎知識『PR思考』」にありました。

転職して3ヶ月がすぎた頃に、同僚からPR関連書籍の刊行記念イベントを兼ねたPRセミナーがあるから行かないか、と誘われました。「よくわからないけど予定もないし参加するか」という軽い気持ちで参加したイベントで登壇していたのが、PR思考の著者のお二方と博報堂ケトル代表の嶋浩一郎さんでした。

このイベント終盤で嶋さんが仰られた言葉に、頭をぶん殴られたような衝撃を受けました。曰く「日本のPRパーソンはもったいない。本来PRの仕事は社会と合意形成ができる仕事なのに」というものでした。当時PRの仕事が何なのかをよくわかっていなかったのですが、お話されている内容が非常に大事なことであることはよくわかりました。

そのイベント後に、嶋さんの著作を調べて即買いしたのが、「欲望する『ことば』 『社会記号』とマーケティング」になります。こちらは、加齢臭、女子力、イクメン、草食男子、美魔女など、生まれたときには辞書に載っていないのに、社会的に広く知られるようになり、テレビや雑誌でも普通に使われ、見聞きするようになる流行語の一種のような「社会記号」について、解説した書籍です。

社会記号は言葉によって欲望を具体化し、人々に何らかのアクションを促す、新しい市場を創造するという意味で、マーケティング、PRと非常に親和性が高いということが、書籍を通じて語られます。そして、嶋さんの視点からメディアの特性についても語られます。言葉を武器にするPRパーソンにとって非常に有益な内容が詰まっている書籍であると思います。

以上5冊が、私の選ぶPR本5選です。私は30歳でPR広報に触れ、同僚やクライアント、記者の方など多くの方にさまざまなことを教えていただいた結果として、今の自分があると思っています。そういった方々との仕事に直接向き合い教えていただいたことは非常に大きいのですが、一方で、とりわけPRのことを全く知らない転職当初においては、広報という仕事の全体像や具体的なノウハウを学ぶという意味で書籍から学べることがたくさんありました。今回の記事が、これから新たにPR担当になる方や、広報を志望する方の一助になれば幸いです。

(文:新井達斗志)

Story Design houseでは「意志あるところに道をつくる」をミッションとして、さまざまな企業のPR活動を支援しています。是非、ウェブサイトもご覧ください。
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