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ちょっと変わったものが好きなんです。(TechTalk・溝口浩二さん)

東京、日本橋小網町。新しいものと昔からあるものが混在した、落ち着いた雰囲気をもつエリアに、コワーキングスペース「flat5」はあります。
私たちStory Design houseが入居し運営もしているflat5。デザイナーや都市設計プランナーなどが集まり、仕事の枠を超えたコミュニケーションが生まれる場所です。
このマガジン「flatなひとびと」では、そんな「flat5」に出入りするメンバーを紹介しています。初回は、昨年夏からflat5に入居されている溝口浩二さんにインタビューを行いました。聞き手は、Story Design houseの鈴木亮一です。

溝口浩二さん / 株式会社TechTalk 代表取締役社長
株式会社ドワンゴのサービス企画開発部長、株式会社ニワンゴの技術担当取締役などを経て、株式会社フリークアウトに入社。2017年にフリークアウトとJapanTaxi株式会社との合弁会社である株式会社IRISの代表取締役副社長に。2019年9月に独立し、株式会社TechTalkを設立。

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突如オフィスに現れたキャッシュレス・カフェ

―今日はよろしくお願いします。まずは、コーヒーの話から始めましょうか。
flat5に入居しているデザイナーさんで、いつもハンドドリップコーヒーを淹れてる方がいるんです。基本的にはご自身で飲まれているんだけど、私たちもコーヒーが好きなので飲みたい。タダでお裾分けされ続けるのもよくないねということで、じゃあ1杯100円ずつ集めましょうかという感じの、ゆるい環境があります。

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ぼくが入居したときは現金だけだったんだけど、キャッシュレスにしたいなぁと思ったんですよね。財布から100円玉を探すの面倒だし、いつも小銭があるわけじゃないし。ということで、Amazon Payでオフィスコーヒーを買える仕組みを作ってみました。

―なんかすごいことを始めちゃったぞと、びっくりしました。

自分が使いたいから作っただけなんですけどね(笑)。
はじめはLINE Payのショップ登録をしてましたが、ぼくしか使うユーザーがいなかった。そこでAmazon Payのショップ登録をして、簡単なウェブサイトも作りました。
Amazonならみんなアカウントを持ってるし、カード番号を入れなくてもいいから使いやすそうだなって。売上はいったんぼくの会社に入金されて、コーヒーを淹れてくださるデザイナーさんにはあとでまとめてお支払いしてます。

―私もヘビーユーザーです。財布の中の小銭って、基本増えることがないんですよね。

コンビニに行ってもSuicaとかで払いますよね。ユーザーの利便性を考えたらここにもSuica端末を置きたいけど、コストが高いですから(笑)。

―緑茶とお菓子をAmazon Pay限定で販売する実験もされてましたね。それまではコーヒーの無料販売所だと思っていた場所が、とつぜんECプラットフォームみたいになったのでまた驚きました。

いろいろな人がいろいろなものを売れたら面白いんじゃないかと思って実装したけど、ちょっと失敗でしたね。ユーザー体験がすごく残念になってしまった。

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このテーブルには、もともとはお土産などが無料で置かれていて、コーヒーだけは例外的に有料。そこにコンビニ菓子が売られていても購買意欲がわかないし、なにより残念な気持ちになっちゃう。商売の難しさを実感しました(笑)。

flat5に入居した理由は「ちょっと変わったものが好きなんです」

―flat5に来る前はどんなことをされてたんですか?

2019年8月まで、タクシー広告の会社で代表をやっていました。座席にあるタブレット端末に動画コンテンツを配信する事業ですね。
その前はドワンゴにいて、ニコニコ動画を作ったりするチームの一部のマネジメントなどをしていました。

もともとはプログラマーでしたが、働いている組織の変化にあわせて、様々な業務をやってきました。新規事業開発をやったり、採用をやったり。
ドワンゴに入社したときは社員が数人くらいだったけど、出るときは1000人規模の会社になっていました。いろんな経験をしたなぁ。

―いまの会社を立ち上げられたのが去年の9月ですね。あえて会社にした理由はあったんですか?

個人事業主でいると、目の前にある仕事をこなすばかりになると思ったんです。会社を作ったほうが新しい挑戦ができそうだなと。
オフィスを借りることにしたのも、簡単にいえば、その方が自分をちゃんと働かせられると思ったからです。

― flat5に入居された決め手はなんだったのでしょうか?

日本橋のこの近くで働いてた時期があって、その頃から土地の雰囲気が好きだったんです。美味しいお店もたくさんある。やっぱり頭脳労働だから、落ち着いた環境がほしいですよね。
いまどきコワーキングスペースはたくさんあるけど、どこも似たような感じでピンとこなかった。運営してる人の顔が見えないというか。flat5は個性的な人たちがいるのがウェブサイトにも現れてて、変わってて面白そうだなぁと。ちょっと変わったものが好きなんです。

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「スキモノ」を相手にした商売をしたい 

いまの仕事のほとんどはクライアントさんのお手伝いですが、将来的には自分の事業を起こしたいと思っています。しばらくはその準備期間のつもりで、面白そうな人に会いに行ったりしてます。

自分が好きなことや面白がれることで、かつ自分の得意なことを活かし、きちんと儲けを出していける商売をやりたいです。

―なるほど。好きなことというのは?

始めるとなったら続けていかなきゃいけないので、その責任を持てるくらい面白がれることじゃないと、長くは続けられないと思うんですよね。

ぼくも歳をとってきて、好きなものとそうでないものがはっきりしてきた。ぼくが好きなのは、昔のインターネットみたいな、ユーザーが少なくて密度が濃い感じのものなんですよね。

―たとえば、マス向けのファストファッションのようなものではなく、職人が作るこだわりの逸品のようなもの、という感じでしょうか。

価値観が合うことも大切だから、一概には言えないですけどね。

好き嫌いの話題をすこし離れますが、大量生産で薄利多売という商売はもう難しいでしょう。どんな業界でもたぶん同じなんだけど、マスを相手に頑張っていると、だんだん疲弊して衰退していく。そうするとニッチを狙うしかない。だから、残っていくのは「スキモノ(数寄者)」に向けた商売なんですよ。

―スキモノですか。物好きとか趣味人といった意味の言葉ですね。

エルメスの商品はどれも高価ですよね。エルメスは昔は、貴族などに高級馬具を売ってたんですよ。ナポレオン三世の時代から、スキモノを相手に商売してきた歴史がある。ここに、なにかヒントがあるんじゃないかと思ってます。

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それに、売るのが難しいものを売る方が面白いと思いませんか?

誰でも買いたくなるようなものを売るんだったら、セオリーがあって、その通りにやればだいたい成功するんですよ。もちろん簡単ではないですが、セオリー自体はある。でも、それではつまらないですよね。

広告の仕事をしていたとき、2~3年くらい一通りこなして勝ちパターンが見えてきたんです。こういう施策をこのくらいの予算でやれば、だいたいこのくらい売れるだろう、みたいな。
でも、普通の施策が利かないターゲットにどうやって届けるかみたいな仕事もときどきあって。そういう、まさにスキモノを相手にした案件は面白かったですね。

―マーケティング的な意味でも、溝口さんの志向としても、スキモノ向けの商売ができたらよさそうですね。

あと、やっぱりコード書くのが好きなんですよね。根がエンジニアなもので。今年の正月もコタツでずっとコードを書いてました。
ぼくの好きなことや得意なことで、ちゃんと利益の出せる面白いことを始めたいなと思ってます。
 
―そのときは、ぜひStory Design houseにPRのご相談を。私たちそういうのけっこう得意なんです。今日はありがとうございました。

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Story Design houseでは「意志あるところに道をつくる」をミッションとして、さまざまな企業のPR活動を支援しています。是非、ウェブサイトもご覧ください。
お問い合わせはこちらから。 https://www.sd-h.jp/contact

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