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中国発! インフルエンサー・マーケティングの新展開を考える4事例(学び・ビジネス編)

こんにちは、Story Design houseインターンの冨島です。

本記事では中国・瀋陽で育ったZ世代の私が、普段から見ているさまざまなジャンルの中国のインフルエンサー(中国では「網紅」や「KOL」と呼ばれることが多いです)を紹介しながら、個人が影響力を持つ時代の新しい伝え方について考えていきます。

前編では「エンタメ・ライフスタイル編」として、主に美容や料理、映画などに関して情報発信している人たちを紹介しました。

後編では、ビジネスや学びに関するコンテンツを発信している人たちを取り上げます。子育てや学問、社会問題からビジネスまで、日本ではまだまだ知られていないような、様々なジャンルのインフルエンサーがいます。

1.「年糕妈妈」 育児をテーマに母親層からの支持

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名門・浙江大学の医学修士を修了した年糕妈妈は、Weiboでは300万人超のフォロワーを抱える、育児系のインフルエンサー。自身も子育てをする母親として発言を続ける年糕妈妈は、専門的な知識を持っていながらも、親しみやすいキャラクターです。

専門性に基づいた育児に関するアドバイスを投稿したり、ときには既存の育児本の問題点を指摘して正しい情報を伝えたりといったコンテンツが、育児に向き合う母親から絶大な支持を集めています。

もともとは趣味で始めたアカウントだったそうですが、人気が集まるにつれてビジネス展開を模索するようになりました。専用アプリをリリースし、育児のためのオンライン教室を配信。もともと広告を受けない方針でしたが、クオリティの高いものに限ってコラボレーションするという戦略に転換し、自身のブランドを伸ばしています。

2.「KnowYourself官微」 感情の分析を通じてつながるコミュニティ

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KnowYourself官微は、心理学に関するアカウントです。国内外の研究や論文を参照しながら、人々に生じる感情を分析・解釈する投稿が人気になっています。ひとりのインフルエンサーというよりはWeChatやWeibo上でのコミュニティに近いアカウントですが、興味深いので紹介します。

コンテンツのテーマは感情に関する分析に加え、心理テストや優しい励ましの言葉、愛やトラウマに関するものなど様々です。新しい書き込みがされると、WeChatのコメント欄は共感や自分の気持ちを吐露するもので埋め尽くされます。

このコメント欄を通じて、自分と似た状況の人とつながりをつくることができるため、プラットフォーム内に小さなプラットフォームを生んでいるようなアカウントです。

3.「咪蒙」 等身大の女性像と社会問題の発信で共感を集める

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中国の女性作家・咪蒙は、WeChatで執筆したコラムをきっかけに一気に人気者になりました。2019年時点では、フォロワー数1,400万のフォロワーを有するアカウントを運営していました。

恋愛や結婚、女性全般に関するトピックから社会問題までが扱われていて、ユーザーに共感を誘います。私が特に注目したのは、タイトル付けがうまい点。たとえば、「仲睦まじいのはきちんと喧嘩ができるから」、「私が会社の倒産に成功した事例」、「Z世代使用説明書」など。内容を的確に表現していて、つい読んでしまいます。

しかし、2019年にこの咪蒙のWeChatやWeiboのアカウントが軒並み削除される事件が起こりました。原因となったのは、階級や貧困といった社会問題について執筆したこと。彼女の投稿は、多くのユーザーがポジティブな議論をすることを阻害している、政権を揺るがしかねないといった観点で問題視されたようです。中国におけるコンテンツ施策について考える上で無視できない出来事だと思います。

表舞台から姿を消したようにみえた咪蒙ですが、今年の4月に運営アカウントのひとつ「洪胖胖」でファッションブロガーとして再び活動を開始しました。徹底した市場調査や、読者との積極的な対話などの工夫から、高いエンゲージメントを持つアカウントになっています。

4.「李叫兽」 Q&Aサイトでの的確なアドバイス

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最後に紹介するのは、Q&Aサイト「知乎」での回答が話題の李叫兽です。2015年頃からビジネス系の書き込みが話題を集め、WeChatなどほかのプラットフォームでも知名度が高まっていきました。こうした活動をきっかけに、2016年には中国最大の検索サイトを運営する「バイドゥ」社の幹部を務めた経験もあります。

彼の投稿はビジネスやマーケティングに関するアドバイスが中心。クオリティが高く、お茶目な喩え話や事例も盛り込み、乾いたビジネス書とは違った読みやすい内容になっています。

カウンセリングや人材教育といった領域にも自身のビジネスを広げており、中国のビジネス系インフルエンサーの象徴的なケースと言えると思います。

ユーザーの関心を持続させるニッチ領域の発信

中国のコンテンツも、見かけが新しく、一気にバズったものに注目が集まることが多いように感じます。しかし、今回のnoteで紹介したインフルエンサーをみていると、ニッチな対象や領域でありながら、確実に存在するニーズに寄り添って発信していく方法で、ユーザーの関心を長く維持できることがわかります。実際、私が普段から見ているアカウントはそういったものばかりです。

また、今回紹介した4人は、オンラインで教室を運営したり、コメント欄をうまく盛り上げて交流の場にしたりと、コミュニティをつくっていく動きが印象的でした。中国のインターネットでユーザーの関心を引き続けるためには、発信だけでなく、ユーザー同士のコミュニケーションを促し、関係性を育むことが必要になってきているのです。

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