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中国発! インフルエンサー・マーケティングの新展開を考える5事例(エンタメ・ライフスタイル編)

こんにちは、Story Design houseインターンの冨島です。

私は中国・瀋陽で育ち、アメリカの大学を卒業しました。いまはイギリスの大学院で勉強しています。

普段は漫画を読み漁ったり、女性アイドルのダンスに見惚れてため息をついたりしながら過ごしています。自分からなにかを創造しようとする人や、世間に発掘されていないダイヤモンドのような人を、多くのファンに見てもらうお手伝いがしたいと考え、PRに興味を持ちました。

本記事は、私が普段から見ているさまざまなジャンルの中国のインフルエンサー(中国では「網紅」や「KOL」と呼ばれることが多いです)を紹介しながら、個人が影響力を持つ時代の新しい伝え方や、ビジネスの展開について考えていきます。

前編は「エンタメ・ライフスタイル編」として、主に美容や料理、映画などに関するインフルエンサーを中心に紹介します。彼らは中国版Twitterと言われているWeibo(微博)や、中国最大級の動画プラットフォームbilibiliを拠点に発信していることが多いため、適宜それらのリンクを参照しながら説明していきます。

1.「李子柒」  ドキュメンタリー級の映像美で、中国の伝統を発信

最初に、いわゆるVlog(Video BLog)で有名になったインフルエンサーとして、李子柒を紹介したいと思います。日本でも紹介されることが増えてきているため、既にご存知の方もいるかもしれません。中国伝統の食や自然、田園生活をノスタルジックに発信して人気を博しています

手作りのショートムービーのような動画が多いですが、クオリティはドキュメンタリー並ですごいんです! 個人のこだわりと、完璧主義の姿勢が感じられます。

2020年10月15日の時点で、Weiboのフォロワーは2,700万人。中国中央テレビにも取り上げられています。また、国外でも注目を集めており、YouTubeでも1290万人のフォロワーを誇っています。

ビジネス的な面も興味深いです。その特徴は、広告やECといった、中国のインフルエンサーが得意とするビジネスモデルに安易に手を出さないこと。彼女が所属するインフルエンサーのマネジメント会社「杭州微念品牌管理有限公司」の力もあってか、ブランドやIPの価値をじっくり育てています

2.「美食作家王」 プロが発信する中華料理コンテンツ

続いて紹介するのは、美食作家王。中華の料理長が手がける、いわゆる料理動画コンテンツを発信しています。必要最低限の調理法を、簡潔にまとめて紹介するところが特徴的です。

「料理の全過程を可能な限り見せる」ことにこだわっており、あくまで身近な食材を用いながら、素晴らしい包丁さばきで調理していくのが見ていて気持ちいいです。料理動画コンテンツに対する視聴者の需要が「アマチュアを見る」から「プロを見る」に変化したトレンドにも合致し、人気を得たともいいます。

また、彼自身の人間性も動画から垣間見え、人間的にもファンになれます。そのため、自分で料理をしない人でも、気楽に見ることができます。

3.「李佳琦」 1回の配信で億単位の売り上げを出す、ライブコマース注目の"口紅王子"

李佳琦は「口紅王子」の異名を持つインフルエンサーです。タオバオ(淘宝)のライブ配信アプリ「タオバオライブ」を使った配信が人気です。口癖である「OH MY GOD、買おう」というフレーズがウケています。日本語でたとえると、「どんだけ〜」みたいな雰囲気(笑)。

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彼の軸は、ビジネスとしては王道の商品紹介ですが、とにかく売上規模が大きい! 過去に1回のライブ配信で2,000万元(3億2,000万円)を売り上げています。男性が行う美容系の動画コンテンツで、1回の配信で日本円で何億もの商品を売るというのは、これまでになかったでしょう。

近年注目されている「ライブコマース」(ネット上でライブ動画を配信して商品を紹介・販売するEコマース)におけるインフルエンサーとして、日本でも紹介されることが増えてきました。

見ている印象としては、トーク力に加えて、もともと化粧品会社ロレアルでコスメの販売員をしていたこともあり、専門知識もあるところが消費意欲の喚起につながっているのではないかと感じます。

4.「林小宅」  社長兼モデルの、美容系インフルエンサー 

続いて、林小宅。彼女も広く言えば、美容系のインフルエンサーと言えると思います。中国のインフルエンサーとしてはキャリアが非常に長く、GIF画像を共有するアプリ「快手」をはじめ、Weiboやタオバオでも影響力があります。最近、youtubeで日本語での発信もはじめた様です。

タオバオでは、日本系の衣類や小物を販売するブランドショップを経営しています。その時々の流行を取り入れつつ、自ら社長兼モデルとして全面に出ることで、商品のプロモーションも行なっています。ときに海賊版疑惑が噴出することもありますが、学生も購入しやすいプチプラを中心に紹介しているため、若い視聴者をキープしています。

また、最近の印象的な活動として、中国版プデュ(PRODUCE 101)として話題になったアイドルオーディション「Youth with You青春有你2(チンチュエンヨーニー)」への出演があげられます。似た系統の動画系インフルエンサー(網紅)が増えていくなか、番組で努力家な性格を見せ、差別化を図っていました。

5.「小片片大片」 映画好きのニーズにも応える、映画要約チャンネル

最後に紹介するのは、小片片大片です。彼はまだ日本であまり紹介されていないのではないでしょうか。展開しているコンテンツは、映画の要約です。

3〜10分程度の短い動画が多く、「映画鑑賞」の体験を気軽に味わえます。時間がないけど映画に触れたい、流行の話題についていきたい、ホラー映画を見たいけど怖くて見れない、といったニーズに応えていると思います。

短いといっても、内容は非常に細やかです。わかりにくいストーリーだったり、オープンエンディングであったりする映画の解説や、作品に出てくるエピソードや引用の元ネタ紹介、ストーリーを動かす小道具への着目など、映画好きにとっても楽しめるものになっています。

また、要約コンテンツではありますが、喋り方やBGMなどもユニークで、本人のキャラクターが伝わってきます。動画の最後に自身の解釈を入れたり、紹介する映画をランク付けしたりすることで、ほかの発信者との違いも強調されています。

IPの重視とプラットフォームの使い分け

いかがでしたか。これまで紹介した5人のインフルエンサーを見ていると、いくつかの共通点があります。ひとつは、IPを重視している点。個人のブランドを時間をかけて育て、ビジネス化する際にもそれを毀損しないように取り組む広告やECのイメージを慎重に吟味しています

次に、複数のプラットフォームを活用している点。いずれのインフルエンサーも、bilibiliでは投稿できない様なコンテンツをYouTubeにアップしたり、動画の内容をWeChatで文字に起こしたりと、プラットフォームごとの特性を活かしています。

後編では「学び・ビジネス編」として、もう少しかための領域のインフルエンサーを紹介したいと思います。お楽しみに!

Story Design houseでは「意志あるところに道をつくる」をミッションとして、さまざまな企業のPR活動を支援しています。是非、ウェブサイトもご覧ください。
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